​旅は問題を解決しない|ただ、景色を変えてくれる― 京都で気づいた世界の広さの話

旅に出れば、何かが変わるはずだ

そんな淡い期待を抱いて、新幹線のチケットを握りしめたことが何度あったでしょうか。

仕事の行き詰まり、人間関係のわずらわしさ、なんとなく感じる将来への不安。

そんな何とも言えないモヤモヤを抱えながら、私は京都へ向かいました。

​その結果、何度も旅を重ねて気づいた、残酷で、そして優しい真実があります。

旅は、抱えている問題を解決してはくれない。

ただ、その問題を見つめる「私の景色」を、劇的に変えてくれる力があるのです。

目次

​「行きたい」と思った時が、あなたのベストタイミング

​旅は、計画通りである必要も、誰かの正解に合わせる必要もありません。

ふと「あそこへ行きたい」と心が動いた瞬間に、身軽に飛び出す旅。

それこそが一番楽しく、今の自分にとって最も意味のあるものになります。​

「忙しいから」「まだ準備ができていないから」と理由をつけて、心の声を後回しにしていませんか。

心がその場所を求めているときは、自分自身が「新しい景色」を必要としている、魂からの合図です。

その直感に従って、風に導かれるように飛び出したとき、世界は最も鮮やかな表情であなたを迎え入れてくれます。

​祇王寺の「虹の窓」が教えてくれた、心のゆるめ方​

京都の奥嵯峨にある「祇王寺」。

ここは私が自分自身を整えるために、特に大切にしている場所です。

茅葺き屋根の草庵にある「虹の窓」の前に座り、ただ一面に広がる苔の緑を眺めている。

そうすると不思議と呼吸が深くなっていくのがわかります。​

日常の中では、常に「次に何をすべきか」を追いかけ、思考が休まることがありません。

けれど、スマホを置いて光の移ろいに五感を預けてみると、頭の中で絡まっていた糸が、一解きずつゆっくりと解けていくのを感じます。

私が悩んでいる間も、苔は呼吸をし、光は無心に差し込んでいる。

旅がくれるのは解決策ではなく、「私の悩みは深いけど、それと同じように世界はこんなにも広く、美しい」という、圧倒的なまでの客観的な景色なのです。

私の背中を優しく押してくれた「祇王寺」についてまとめています。

「今いる場所」がすべてじゃない。そう思えるだけで、自由になれる

​旅に出ると、「今いる場所が、世界のすべてではない」という、シンプルで力強い真実が胸に響きます。

一歩外へ出れば、世界は想像以上に広く、可能性はそれこそ無限大に広がっている。

​「私にはこれしかない」と思い込んでいた選択肢が、実は自分で勝手に引いた境界線だったことに、静かな景色は気づかせてくれます。

今いる場所から抜け出し、空の広さを思い出す。

景色を変えることは、自分を縛り付けていた思い込みから自由になることでもあるのです。​

自分の人生を、自分の手で選んでいく勇気​

自分の意志で、自分のタイミングで景色を変える。

その事実は、「私は自分の人生を、自分の手で選んでいる」という確かな手応えを心に刻んでくれます。

それはつまり「自分の人生に責任を持つ」ということ。

​旅は、私の代わりに問題を解いてはくれません。

けれど、旅は私に「自分の手で運命は変えられるし、その責任を引き受ける強さが自分にはある」という勇気を、静かに手渡してくれます。

景色が変われば、思考が変わる。

思考が変われば選ぶ言葉が変わり、明日からの行動が、そして運命が変わっていく。

門を出る時の足取りが少しだけ力強くなっているのは、自分の人生の舵(かじ)を、再び自分の手に取り戻した証拠です。

​おわりに​

もし、あなたが今、出口が見えないと感じているなら。

解決策をひねり出すために思考をあれこれ巡らせるのではなく、ただ「景色を着替えに」出かけてみてください。

​京都の古い街角や境内で出会う風は、問題を即座に消し去りはしないでしょう。

けれど、山門を出る頃には、あなたはきっと知ることになります。

自分のいる日常が世界のほんの一部でしかないということ。

この世界は深く、広く、眩しいということ。

そして、その広い世界へと再び漕ぎ出すための勇気は、いつだって、あなた自身の内側にあるということを。

あとがき:自由でいるための「根っこ」の話

​私は、映画『男はつらいよ』の世界観がとても好きです。

​主人公の寅さんは、何にも縛られず、風の吹くままに旅を続けます。

トランクひとつで知らない街へ降り立ち、そこでいつの間にか自分の居場所を作ってしまう。

その「どこでも生きていける」というしなやかな強さは、世界がいかに広いかを教えてくれます。

​けれど、彼が本当に自由でいられるのは、江戸川の土手を越えた先に、自分を待ってくれている「茶の間」があるからこそ。​

「どこへでも行ける自由」と、「いつでも帰れる場所」。

この両方があるからこそ、人は迷いながらも、自分の足で一歩を踏み出せるのだと思います。​

旅を通じて景色を変え、運命を自分の手に取り戻そうとする私の歩みも、どこか寅さんの旅に似ているのかもしれません。

型にハマらず、自分らしく。

根っこはしっかり張りつつも、心だけはいつだって軽やかな旅人でありたい。そんなふうに願っています。

だって世界はこんなにも広いのだから。

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このブログを書いている人

旅ライター。個人で旅ブログを運営しています。
京都を中心に、季節のうつろいとともに旅をしています。
古い町家や静かな宿、朝の空気がきれいな場所が好き。
忙しい日常の合間に、ふっと深呼吸できる旅のヒントをお届けできたらと思っています。
どうぞ、気ままにのぞいていってください。

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